ブルースが聴こえる

その日はライブを見に行った。
最高にご機嫌になれるライブで、私は烏龍茶でいい気分になれた。
いい気分のまま帰宅して、ニュースを見たらロックンロールが途絶えていた。
私が浮かれて音楽を聞いているときに、音楽の楽しみを教えてくれた人がいなくなった。

私が忌野清志郎を見たのは丁度10年前の5月だった。イベントで、清志郎は当然のごとくトリをつとめた。
奇抜な衣装とメイクは15歳の私をひびらせるのに文句無かった。
清志郎は音楽を知らない私のような人間に、音楽は楽しいんだ!ということを教えてくれた。偉大だ。すごくちんけな言葉だけど、偉大だった。
「わぁ、本物だ」と思った人は今まで2人いる。
一人は甲本ヒロトでもう一人は忌野清志郎だ。
清志郎は、言わずもがなセクシーで、そして何より力があった。
15歳のガキに大声で「イエーイ!!」と叫ばせることができたのは忌野清志郎だけだ。
5月2日に日本は大事な文化を失った。
忌野清志郎という、ロックンロールの文化を。

清志郎さん、ありがとう。
あなたを見れたことは人生で忘れ得ぬ思い出です。
あなたは死んでない。ずっと生きてるから死んでない。
だから今夜は乾杯します。